不妊治療のキロク

2017年から矢内原ウィメンズクリニックで不妊治療を開始し同年に顕微授精で子供を授かりました。今は一人目育児に奮闘中!

不妊治療と仕事の両立。私がフリーランスになれた理由

不妊治療をする前、私は三ヶ月に渡る語学留学をしていました。

日本に戻ってきてから、知り合いが不妊治療をしたという話を聞いて、ずっと避妊してないのにうちも子供できないから、もしや?と思い病院に検査へ行ったのでした。

詳細は下記の記事をお読みください。

実は当初、正社員として働きつつ不妊治療を行うことを検討したものの、それも厳しそうで・・・旦那の勧めもあってフリーランスになりました。今回はその話をご紹介します。

 

不妊が発覚!立ちはだかるお金と時間の問題

不妊治療に立ちはだかる最大の問題はお金と時間だと思う。それらはいずれも仕事に直結する話だ。我が家は体外受精、しかも顕微授精を行わないと授かることは厳しいと言われていた。

顕微授精は不妊治療の中でも最もお金がかかる治療方法にあたる。

ちょっと調べただけでも100万円単位でお金がかかるような治療だ。

 

留学から帰国したばかりで潤沢な貯金があったわけじゃない我が家は、まずは貯金をすることに決めた。もちろん、貯金をしている間も何もしないわけではなく、できることをやってみることにした。

 

貯金をするには私が再就職する必要がある。正直、就職先にはそこまで困らない職種だったし、何なら元いた職場の上司から戻ってこないかと何度か連絡ももらっていた。

元の職場の人たちは好きだったし、それも考えたが時間の融通が効かない会社だったので、元の会社に戻るという選択肢はなかったが・・・。

 

再就職をするにあたり、多少年収が落ちても良いので時間に融通が効きそうなベンチャー企業に面接に行った。ベンチャー企業であればフレキシブルな働き方ができるのではないかと考えたのだ。また、個人的にもベンチャー企業で多岐にわたる色々な経験を積んでみたいと考えていたので一石二鳥だと思った。が、思ったよりそれはうまく行かなかった。

 

妊娠したら育休に入っちゃうんでしょ問題で転職活動は難航

面接では不妊治療をしたいという旨を積極的に伝えた。もちろん不妊治療によって減った働く時間、業務時間内で処理しきれなかった業務についても責任をもって遂行したいということも伝えたが、そこが問題ではなく「妊娠した後」のことを渋く見られた。

不妊治療がうまくいってすぐに妊娠して育休に入られたら困る、問題である。

正直、私としては早く妊娠したかったけど、多くの体験談を読む限りそんなサクサク妊娠できている人は多くないと感じていたから我が家の不妊治療も長丁場になることを想定していた。また、少なくとも1年は貯金のためガッツリ働くつもりだったから、そこまで問題になるとは思っていなかった。

 

企業は、私達が考える以上に「入社して早々に育休に入られたら困る」と考えているのだと感じた。

 

もちろん、言わんとしていることは分からなくもない。何も言わずに入ってきて入社してすぐサクッと妊娠されたら、場合によっては企業はまた新たに人を採用しなくてはならないし、こればかりは会社側を強く責めることはできないと思った。

 

なので、妊娠しても1年間の育休をとらず、法で定められている期間だけ産休をもらえたらすぐに復帰する、と伝えたが転職はうまくいかなかった。

当時の私はこの結果をみて「これじゃあ、日本の少子化は止まらないわけだな」と思った。

 

旦那からの「自営業」でやれば?の一言

そこで、旦那が突然「自営業でやれば?」と勧めてきたのだ。

いわゆるフリーランスというやつ。いや、私も憧れはあったし考えなかったわけじゃない。でも、自営業になるとデメリットがたくさんある。保障がなかったり、払うべき保険料や年金が高くなったり・・・。

また、どうやって仕事をもらうのか?という問題もあった。デメリットとなった高くなる保険料や年金、保障がない分を踏まえた貯金ができるくらいの報酬がもらえる仕事があるなら、いくらでもフリーランスでやるけど、当初はツテもなかったし、あまり乗り気じゃなかった。

 

そんなとき、転職しないかと1度誘われ断っていた知り合いから「やはり、もう一度考えてくれないか?」という連絡がきたのだ。私は断られる覚悟で「不妊治療をしたいので在宅で働きたい。なので業務委託としてでもよいか?」と交渉をした。

 

その結果、なんとかフリーランスでやっていける目処がついたのである。

 

不安定だからこそ、予防線や声がけは積極的に行った

とはいえ、フリーランスといえば不安定。だから念の為、派遣社員の登録も行った。また、知り合いで独立した人、会社を退職した際に「フリーランスになったら仕事依頼させてください」とお声がけ頂いた方に、連絡したりした。

 

その結果、いくつかの仕事を頂き結構忙しくなった。貯金も半年で目標金額に達し、1つ目の病院で初めて不妊の検査を行った日から7ヶ月後、矢内原ウィメンズクリニックで不妊治療をスタートさせたのだ。

 

と、ここまで話すと順風満帆だった感じがするがそうでもない。前述した「フリーランスになったら・・・」と言ってくれた人は完全に社交辞令だったようで「え?」みたいな反応をされたし(すごく悲しかった・・・)、普通に会社勤めをするより人間関係に対するフラストレーションは大きかった。昔なじみの人と仕事をするのは楽だけど完全に初めましての人と仕事するのは本当に大変。

ただ、失敗をしても次はそれを踏まえた提案をしたり、自分のディレクション能力は確実に上がったと思う。そういう意味では、フリーランスでも自分の心がけ次第で成長は促せると思った。

ただ、孤独な気持ちになることも多く、ネガティブな思考に陥ることもしばしば・・・。まぁ、あんまり仕事だけに打ち込まず肩の力を抜いて働くのが重要だと思う。

 

時間の自由 > 保障や安定・キャリア

不妊治療の時間の自由のためにフリーランスになることが良いのか、と考えると誰しもがこの選択肢を選ぶべきとは思わない。

前述の通り、保障や安定がないのですごく不安になるし、今まで築いてきたキャリアだって棒に振りかねない。また、営業能力・経理能力・ディレクション能力も問われるし、正直心への負担も大きい。

どうやって仕事を獲得するか、という点についても私は運が良かっただけかもしれないな、というのが正直な感想。もちろん本当の運任せではなく、ある程度今までの自分の努力が導いた結果だと思うけど。

なので、私のように今まで真面目に働いてきて、不妊治療を機にフリーランスになろうかな、と考えている人は信頼する周りの人に頼ってみるのも一つの手かもしれない。「仕事をください」と大々的に言うのは危険だと思うので、あくまでも信頼できる人限定で。

そこである程度、収入の目処がついたら本格的にフリーランスとして活動したら良いと思う。

 

また、フリーランスとして仕事をもらう際は自分の事情をきちんと話し自分が想定している不妊治療の具体的なスケジュール感や妊娠中・産後の働き方も提示すると、より相手も仕事が頼みやすくなると思う。

私も「1年間は不妊治療のための貯金をしたいので、ガンガン働けますが、不妊治療が始まったら、通院等で完全在宅でお願いする可能性があります」と伝えていた。

 

フリーランスでも正社員でも信頼関係は重要。不妊治療は言いづらいことだけど、だからこそ働く相手には伝えるべきだと思う。なんせ、仕事をする上で時間と体調は非常に重要だから。

隠し事のないフラットな関係こそが不妊治療と仕事の両立で一番重要なのかもしれない。