不妊治療のキロク

2017年から矢内原ウィメンズクリニックで不妊治療を開始し同年に顕微授精で子供を授かりました。今は一人目育児に奮闘中!

不妊治療をしながら働くという選択肢

不妊治療はお金がかかる。だから、私に働かないという選択肢はなかった。

旦那の収入だけでは、もちろん無理だし、支援してくれる人もいない。
というわけで、私たちは「不妊治療をしながら共働き」という選択をした。

と、同時に時間の制約が生まれやすい不妊治療に対して私は、フリーランスで働く道を選んだ。

 

不妊治療をするにあたっての費用計画

不妊治療のため、半年間はそのために貯金をしようということになった。


とりあえずの目標は100万円。

 

また、お金の管理方法として家計のお金は旦那、不妊治療+貯金のお金は私という振り分けにした。
不妊治療については、100万円をどんどん崩して使っていくのではなく、基本は私の収入から支払いを行い足りなくなったら、貯金を崩していこうと思っていた。これは、ある意味心の安息にも繋がる。貯金が目減りしていけば精神が辛くなるからだ。

結果的に不妊治療のために貯金したお金はほぼ使わずに1人目を授かることができた。

 

どうして半年間という期限を作ったのか

半年間という制限を作った理由としては「不妊治療は早ければ早いほど良い」からだ。

不妊治療をするにあたり色々な本を読んだがどの本も「母体の年齢(卵子の年齢)」について言及していた。その背景には男性不妊の研究が進んでいないという点もあると思うが、とにかく今出ている情報から考えられる最善の方法は「私ができるだけ若いうちに不妊治療を進めること」だと考えたのだ。

 

半年間で100万円貯めるのは意外と大変ではなかった。というのも、私の収入のほとんどを貯金に回せるからだ。正確に言うと、外食や遊びに行くお金は私の貯金からだしていたため、全てをまるっと貯金に回せるわけではないが、家計のお金を旦那が負担してくれているのでその分は負担なく貯金に回せた。

 

このことから不妊治療をするなら家計の分担について改めて夫婦で話し合うのは非常に重要だと思う。
そこをふんわりした状態で始めてしまうとどちらか一方が苦しむことになる。

金の切れ目が縁の切れ目という言葉もあるくらいお金は大事。話し辛いことだけど、きちんと計画を立てるべきだと私は思う。

 

フリーランスになることのリスクとメリット

フリーランスになった理由として、一番大きなメリットは「自分の心の負担を減らすこと」だった。
会社員は、非常に恵まれている。有給・安定・社会保障・・・その分、会社員は労働でその対価を返す。

が、そうするとどうしても発生するのが「うしろめたさ」だ。会社員として働いているのに、体の不調でもないことで遅刻・休みを取るのが申し訳ない。それは当たり前の権利で、そんなことを労働者が考えるべきでない、という考え方があるのは百も承知だが、どうしても一緒に働いている人たちに申し訳ないと思ってしまう。

だから、私は全てが自己責任になるフリーランスを選んだ。

もちろん、こういう考え方を持つこと自体が間違いで、今後は「不妊治療」に理解を示す会社が増えてほしいと思っている。
現に最近は不妊治療をする人たちを支援する動きが色々なところで見られた。メルカリなんかは、妊活中の社員を支援する制度まで作っている。凄く良い流れだと思った。

とはいえ、当時私は留学から帰ってきたばかりの無職。会社員になってすぐ不妊治療を始める人を雇いたい人なんていないだろう。私も一応、会社員に戻るかと思い面接を受けたが「不妊治療をこれからしたい」という話をするとどの会社も途端に口数が減った。それは当たり前の反応だと思う。雇って早々に勤務時間が不規則なのは困るだろう。

私は雇ってもらう以上は筋を通したいから全て包み隠さず話したが、まだまだ不妊治療に対する理解は進んでいないと感じた。
そもそも「妊娠すること」自体を歓迎しない人だって多いのだから、「不妊治療」への理解が浸透するのにはもうすこし時間がかかるのだろう。

と、ここまでかなりネガティブな話を書いたが結果として私はフリーランスになって本当に良かったと思った。時間や場所の制約もないしフリーランスの場合、事前に不妊治療をしていることを伝えても就職活動のときほどネガティブな反応はされない。むしろ、計画的に妊娠できるのだから先方としても仕事のスケジュールが組みやすいのだろう。

この働き方が全ての不妊治療を希望している女性が可能だとは思わないが、最近ではフリーランスという働き方が浸透し仕事も自分で探しやすくなった。その辺でパートするより良い時給が貰える案件だってざらにある。可能性はぐっと広がりつつあるのだ。この件はまた別途記事にしたい。

ただ、今もし会社員として勤めているなら不妊治療のためにフリーランスになるべき!と強く推奨はしない。なぜなら、不妊治療はあくまでも通過点にすぎず、その後の子育てにおいては会社員のほうがはるかに有利に働くことが多いからだ。フリーランスには育休がない。健康保険も国民健康保険になれば、すごく高い。年金は今までと同じ金額かもしれないが、補償内容は悪くなる。福利厚生だって基本はない。保育園だって入りづらい。

私は、「自分の心の負担を減らすこと」というメリットを得る代わりにこれらのデメリットを受け入れることを選んだ。
そのため、働き方についてもまた夫婦できちんと話し合ったほうがよいと思う。


お金も大事だし、心の負担をなくすことも大事

不妊治療をするにあたって、なくてはならないのがお金。そもそもお金がないと何もできない。イギリスのように日本も不妊治療が無料になればここだけでも考えなくて済むのだが、今日の日本の状況から考えるお不妊治療に対してより手厚いケアを始めるのは、まだ先になるだろう。

ただ、不妊治療においては、両親共に若くて健康であることが非常に重要だ(一般的には女性の年齢と言われているが、昨今の研究では男性側の年齢も重要というデータもでてきているようなのであえてこの書き方にする)。
そのため、早く治療を始めることも非常に重要なポイントになると私は思っている。

だからこそ、不妊治療のお金の捻出方法についてはきちんと話し合っていかなくてはならない。それに関する働き方も不妊治療を行う夫婦において非常に重要なポイントになる。不妊治療を行うにあたり自分たち夫婦にとって何が一番大きな課題になるのかは始める前に話し合うべきだ。

それこそが、お互いの心の負担を減らすことにもつながる。ただでさえ、心をすり減らす不妊治療。お互いが協力して一つのゴールに向かっていくという認識をもって取り組むことが重要だと私は思う。

最後に、恐らく不妊治療に対して消極的な態度をとるのは多くの場合、旦那さんなのではないかと思う。
奥さんはそうした旦那さんを見るたび、辛くなるだろう。
我が家も例にもれずそうだった。だから鼓舞していつも前向きに、相手をマネジメントしてあげるくらいの気持ちで不妊治療に取り組んできた。「なんで私だけ頑張らないといけないの?」と思ったことだって一度や二度じゃない。まぁ正直言うと喧嘩だって何度したかわからないが・・・笑

この話が希望になるかどうかわからないが、息子が生まれてから旦那は私にこう言った。

「あの時、ちゃんと不妊治療をしようと進めてくれてありがとう。こんなに可愛い息子に会えない人生は考えられなかった。」

男性は女性より共感能力が低いところがある。また子供がいる人生という想像ができない人も多いのではないかと思う。でも生まれてみれば、だれも想像つかなかったくらい子煩悩になりそして、きちんと不妊治療を進めて頑張ってくれたことに感謝してくれる日がきっとく来る。

これを読んだ全ての人が妊娠できることを私は心から祈ってます。